美しいものを見た。眩しいものを見た。決して華やかではない光。どちらかといえば月のように仄かな光に、近い。だが、それは優しくて尊い光だったから。誇り高くて綺麗な宝石だったから。
引用/4.あの、透明な水を、この手に
「お前を倒すために」 今まで生きてきた中で最高の喜びを全身で感じていた。恐らく、魔王もそうだろう。 魔王と、自分が剣を抜いたのはほぼ同時だった。 やるべき事はひとつだけ。 「ねえ、勇者」 「なんだ」 「僕達は最初からひとつであるべきだと思わないか?」
引用/2.ふたり、永遠に
あまりの息苦しさに身をよじったけれど、逃れられない。 頭の中が真っ白になって、意識が飛んでいきそうになった時、いきなり突き放された。 「分かってくれた?」 目の前にある彼は怒りと悲しみでこちらを睨んでいる。
引用/5、その、黒濁の水を、落として
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