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肺を患った思春期の女の子たちが棲む、<寄宿舎>と呼ばれる森の修道院。そこに君臨する、罪深い《王女》は誰か。頑丈に扉を閉ざしたさきにある秘密を、鍵穴から覗いてごらん。その覚悟があるならば。罪が乙女を気高くし、秘密が少女を育む。《しこまれた王女》へと。 正直なところ、わたしはこの物語に、頭を殴られたような衝撃を受けました。 傲慢にも強く感じたのです。「これはわたしのための物語」だと。 少女とはこういうものだった、ということを、わたしは想い出しました。 こうあるべき、こうあってほしい、こうあらねばならないものだった、と目が覚まされる思いで放心しました。 これは少女と乙女の《秘密》の物語です。もっとも罪深い者こそが、<寄宿舎>の女王となる。 では、罪とはなにか? グラニュー糖のように、甘く、白く、ざらざらとしていながらさらさらともしている。ひと口舐めたらその味が忘れられない。まっしろな罪の味。それはこの書物に綴られる言葉の味と、よく似ています。 わたしも《少女》に憧れる者のひとりとして、自分だけの秘密をもち、自身を育まなければいけない。そうつよくつよく思わせてくれた本です。名刺がわりにして、「これがわたしです」と大好きなひとたちに贈りたい、そんな気持ちにすらなりました。 あなたもきっと、あなただけの《秘密》を、この書物のなかに見つけることでしょう。 | ||
推薦者 | 津木野由芽 |