出店者名 浮草堂
タイトル ヘヴンズ・ドアー(下)
著者 浮草堂美奈
価格 900円
ジャンル ファンタジー
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紹介文
各国異能大戦終焉……!
国が亡ぶのと引き換えに、戦士たちは力を望み、そして倒れていく。
世界の終り(ラグナロク)は、開始され、フェンリルの咢が世界を飲み込んでいく。
エミリーは祖国のために
紅玉は家族のために
そして依子は名誉の戦死を果たすために
最後の戦場へと向かう。

神を殺せぬ罪?悪魔を信ぜぬ罰
天国で赦してください

「兄様! 兄様! 兄様! 兄様ああああああッ」
 そこまで絶叫したところで、絶叫がぴたりと止まった。
「兄様、分かりました。こいつらを全員ブチ殺してしまえば良いのですね。それがまがい物としてのわたくしのさだめなのですね」
 酷く、冷静な声だった。
 その冷静さ故に、発狂が見て取れた。
 ロビン・ファン・ヒューリックは自制ができない。
「死ね。全員地獄に送ってやる」
 ジャックはロビンと目を合わせ、催眠をかけようとした。
 しかし、無駄であった。
 ロビンの瞳には、もう何も映っていなかったのだ。
「殺します、殺します、殺します、兄様」
 そして、ロビンはうっそりと笑った。
「貴方が、わたくしのかみさまです」
 ユグドラシルが大きく震えた。
 それは、ロビンから放たれた、圧倒的プレッシャーからだった。
「ユグドラシルが怯えるなんて……!」
 恐怖のあまり縋りつくようなユグドラシルの様に、シスター・エラは初めて舌打ちした。
「いけません。ユグドラシル。あなたは秩序なのです。いかなる時でも揺らいではなりません」
 その様子は、思い通りにならない我が子を殴る母親に似ていた。
「ごちゃごちゃとやかましい」
 その依子の言葉に、シスター・エラははっと顔を上げた。
「秩序だのルールだのうるさいんですよ。この世で正義たるものは一つ、たった一つです」
 依子はBARをシスター・エラに向けた。
「敵を殺して死ぬ事です。それ以外に正義なんてありません」
 シスター・エラは絶叫した。
「この人でなしがああああッ」