「兄様! 兄様! 兄様! 兄様ああああああッ」 そこまで絶叫したところで、絶叫がぴたりと止まった。 「兄様、分かりました。こいつらを全員ブチ殺してしまえば良いのですね。それがまがい物としてのわたくしのさだめなのですね」 酷く、冷静な声だった。 その冷静さ故に、発狂が見て取れた。 ロビン・ファン・ヒューリックは自制ができない。 「死ね。全員地獄に送ってやる」 ジャックはロビンと目を合わせ、催眠をかけようとした。 しかし、無駄であった。 ロビンの瞳には、もう何も映っていなかったのだ。 「殺します、殺します、殺します、兄様」 そして、ロビンはうっそりと笑った。 「貴方が、わたくしのかみさまです」 ユグドラシルが大きく震えた。 それは、ロビンから放たれた、圧倒的プレッシャーからだった。 「ユグドラシルが怯えるなんて……!」 恐怖のあまり縋りつくようなユグドラシルの様に、シスター・エラは初めて舌打ちした。 「いけません。ユグドラシル。あなたは秩序なのです。いかなる時でも揺らいではなりません」 その様子は、思い通りにならない我が子を殴る母親に似ていた。 「ごちゃごちゃとやかましい」 その依子の言葉に、シスター・エラははっと顔を上げた。 「秩序だのルールだのうるさいんですよ。この世で正義たるものは一つ、たった一つです」 依子はBARをシスター・エラに向けた。 「敵を殺して死ぬ事です。それ以外に正義なんてありません」 シスター・エラは絶叫した。 「この人でなしがああああッ」
|