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ローカル食アンソロジー東北編とあるように、東北6県のローカル食の物語を集めたアンソロジーです。 と書くと面白みもない紹介になってしまうのですが、ローカル食以外におそらく隠しテーマがあって、それが「母の味」、もしくは「家庭の味」です。 東北6県出身の作者さんたちが、それぞれの県のローカル食にどう向き合うのか、そのアプローチの違いを楽しむのがこの本の面白さだと思いますが、「母」とどう向き合うのか、「家庭」とどう向き合うのか、そこもまた面白さのポイントになっています。 テーマがテーマであるが故に、恋人や母とふれあうまっすぐな作品が多いのですが、変化球を投げている作者さんがいます。 青森県の蒼狗さんの作品もまっすぐのようで突然変化する面白い作品だったのですが、秋田県の良崎歓さんの作品がかなり大きな変化球になっています。「母の味」、「家庭の味」をテーマに少し奇妙な恋愛小説を描いているのです。良い意味で特殊な作品です。 良崎歓さんの作品がアクセントとなって、アンソロジーとしてはバランスよくまとまった一冊になっています。知らない東北のローカル食を楽しむのもよし、まだ見ぬ母の味を懐かしむのもよし、お腹を空かせて読むべき一冊です。 | ||
推薦者 | ひじりあや |