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完全版 黒ねこのしっぽを切った話 |
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「わからないことをわからないまま書く」のは、天才の所業だ。 それを言ったら、詩歌は本質的にはむき出しの才能の勝負だと思っている。 「天才という言葉を軽々しく使うな」と大学のころ教授に言われたことがあるけど、 軽々しくない天才が存在するのも事実だと思う。 「才能とはつまり運のことだ」と、ある漫画に書いてあった。 そう考えると、詩歌における天才というのは、言葉に愛されている人のことなのかもしれない。 さて、壬生キヨム歌集「コロシアイ」である。 一言でいうと、不思議な歌集。 でも、とても好き。 どこが好きかを尋ねられると答えるのが難しいのだけど、例えばこの歌。 思い出を作りに行くのだ最初から記憶としてしか残らないもの とても悲しくなってしまう。 「コロシアイ」は、キヨムさんの短歌は、ポップで、かわいくて、 なのにその裏に悲しさがある。 強がっているけど、ほんとうはこわくて、怯えている。 表紙こそ明るくて、短歌も一見明るいのだけど、 中身はどっちかというと悲恋とか別離に近い、と思う。 「コロシアイ」という歌集自体が、そういう弱さをはらんだ ひとりの等身大の女の子の姿なんじゃないだろうか。 そんな話をいつか書いてみたい。 書いてみたいのは、それを読んでみたいからだ。 | ||
推薦者 | にゃんしー |