出店者名 パレオパラドキシア
タイトル ことばのざんきょう vol.2
著者 海老名絢
価格 200円
ジャンル 詩歌
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紹介文
個人詩誌第二弾(これだけで読めます)。
詩を6編収録。
(B6・表紙込み24p・2017/8/27発行)

【目次】
ステップ/冷たい夜明け/ひかりと風/進行形/紡ぐ/耳の速度

http://aya.oops.jp/o/zankyo02.html

   ひかりと風

ベランダに出て、
冬のひかりと夏のひかりは違うのだということを
刻んでいた。

できることなどないように思える日にも、
くり抜かれたすべての窓に等しく降りそそぎ、
骨にまで届く。

窓の向こう側にも生活はあって、
洗面台の石鹸のすり減り方、
服のしまい方、
自分の食べさせ方、
間取りだけ同じであとは何も共有しない隣人とは
一度もすれ違わない。

聞いてほしいことがあった。
それは昔々のことで、
もう話す意味もないのだろうけれど、
わたしの水門を超えようとするので、
感傷にほど近い歌を小さく歌った。
薄い雲越しのやわいひかりに
掻き立てられて。

ゆうべの風が
今頃になって部屋を吹き抜けていく。