過去の結果

▼10月5週

名古屋○-×神戸
3点

お題
「誰も私のことを分かってくれない…」
失恋の季節に、1番自分を分かってる自身に出す
「ラブレター」
を。

サトシと一緒にバイトに行った。
デパートの、着ぐるみショー。
わたし、女の子ウルトラマンみたいな『ユルミ』ちゃん役。
この子、海亀で、いじめられキャラ。
サトシ、黒いガメラみたいな『テキビシン』役。

『テキビシン』わたしを指さして叫んだ。
「ユルミ、もっと賢くなれ、もっと働け、卵をいっぱい産んで、良い母親になれ」

「あんなセリフあった? 本音で喋ったでしょう?」
楽屋で大げんか。
もう、女をバカにして、これは、破局だね。

わたし、レミ。
妹がいる、ルミ。
ふたりは、ほくろ一つない一卵性双生児。
一日おきに、
生活を交換してる。
学校にバイト、
彼氏、サトシ、ユウジも、とりかえっこしてる。

家に帰ったら、妹は、もう眠ってた。
今日、一日あったことを、手紙に書いて伝えることになっている。
「ルミ、ごめん、あんたのサトシと別れちゃった」
テーブルの上に、妹からの手紙があった。
「レミ、ごめん、わたし、あんたのユウジの子、妊娠しちゃった」

「誰も私のことを分かってくれない…」
失恋の季節に、1番自分を分かってる自身に出す
「ラブレター」
を。


窓の外を見ながら レポート用紙の裏に 書き記す

東出 茜
19歳
彼氏いない歴 19年
趣味は 自分宛のラブレターを書くこと
それ以外は特に ない

その日も授業が終わると
まっすぐ家に帰るところだったが
ゼミの助手に呼び出された

「前のレポートのことだけどな

…茜の気持ち 嬉しかったぞ」

はっとした
レポートの裏に 自分宛の「ラブレター」を書いたまま
提出してしまったのだ
それを この男は勘違いしているのだ

何も言えずに口をあわあわさせていると
男はそっと 手を肩のあたりに回してきた



私は目を瞑った


「誰も私のことを分かってくれない」


その瞬間 私が「ラブレター」の一行目に
書いた言葉を思い出した
私が私に 一番伝えたかった気持ち
一番 変えたいと思っていた自分

私は-

金玉をけりあげると レポートを奪い 一目散に外へ出た

-どこへだっていける

涙が とまらなかった

帰ると 母がすごく心配して すぐにお風呂を炊いてくれた

お風呂の鏡に映る自分に「バカ」と言って
それから 笑った

(先攻・名古屋)みおよしき-(後攻・神戸)にゃんしー

審判評:
  →「名古屋」:設定にどんでん返しがあって、面白い。
         けれど、ラブレターの要素がもう少し
         欲しかったかも…。
  →「神戸」:”誰も私のことを分かってくれない”
         のお題文を直接書かずに、ニュアンスを
         読者に伝える方法を考えてみて下さい。


  最近、よく人生相談を受けます。
  そんな彼女たちとの会話で気がついたのは、
  「お題」の中に書き込んだ言葉です。
  
  現在は、みんな「自己愛」の時代です。
  コンプレックスの塊である自分を知ってるのに、
  偽りのプライドだけはあって、認めたくない…。
  そんな1人1人を見つめて欲しくて出しました。

-審査員:Kylin

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