現在の試合

▼10月4週

東京○-×神戸
3点

お題
「ミーはおフランスは
きらいザンス。シェーッ!」
シェーをして、私は喫茶店を出た。

「ミーはラ・フランスは
きらいザンス。シェーッ!」
一人目の私は果物の好き嫌いを訴え、シェーをして、果物屋を出た。

「ミーは金平糖は
きらいザンス。ツェーッ!」
二人目の私はねずみみたいな顔をして、ツェー?をして、古い家を出た。

「ミーはおフランスは
きらいザンス。シェーッ!」
三人目の私は上映中の映画に彼女を残したまま、シェーをして、映画館を出た。

私は増え続ける。
「ミー」が「三一」だったり、
「ザンス」が「サンサーンス」だったり、
「シェー」の手と足がこんがらがったりしながら増え続ける。

十六番目の私は喫茶店でぶるぶる震えていた。

人間としておだやかに暮らしていたかったのに、
集まらなくっちゃいけないなんて。

しかも起動音が、

「ミーはおフランスは
きらいザンス。シェーッ!」

だなんて。

「地球終わるかなあ」

すすけたガラス越しの小学生の声と、
マスターのぽんと肩をたたく合図がほぼ同時。

「ミーはおフランスは
きらいザンス。シェーッ!」
シェーをして、私は喫茶店を出た。



机の上には、あいつの飲み掛けのコーヒーと
シャネルのネクタイピンが残された。


あいつの出っ歯はかわいい。
唇噛まれてもかわいい。
ミーハーなとこもかわいい。
(なぜか)胸毛の育毛を頑張ってるところもかわいい。
シニカルなもみあげもかわいい。

でも。

「これ、カルシェなんだよ。」
「ポールシュミシュやっぱいいねー。」
「今度ティシュアニーの指輪買ってあげる」

どうしてか、切ない。

歩み去る、ポルシェ、走り去る、後ろ姿。

よく似合っている。

(先攻・東京)ともちゃん9さい-(後攻・神戸)かづきあおい

審判評:
わかりやすいのは後者なんですが、
前者の方が視覚的におもしろい画が喚起されたので。

-審査員:P

戻る