僕は餅人間。
天空の城で誰だか知らない子が「アッチョンプリケ」て叫んだお陰で僕の体はお餅になった。
それ以来苦難の日々。
極端な粘着体質になったので、町を歩けば人間蝿取り紙状態と化す。
婦女子にはひどく毛嫌いされるけど、地域の衛生推進活動には多大な貢献をしている。
先日、町から町民栄誉賞も頂いた。
そんな僕は、空気が乾燥する冬の日の外出は出来るだけ控えるようにしていた。
しかしその日は特別だった。
トキメキ抱えて僕は待ち合わせの場所に向かった。
なのにその途上僕は、肌の湿度を保つ命の霧吹きを道に落として割ってしまった。
すぐに体表が乾き、ひび割れが生じ、関節が固くなり、足が前に進まなくなる。
彼女が待っているというのに!
その時。
前方から颯爽と歩んでくる褐色の肌。
彼女は僕を優しく抱き締めた。
二人の狭間に温もりが生じ、少し融けた彼女の皮膚が僕のひび割れに染み込んだ。
彼女の体臭が僕の体を包み込む。
チョコレートの香り
あまぁ~い あまぁ~い
香り
嗅いで 嗅いで
もっと もっと
そして たべて
ぜんぶ たべて
きらぁ~い きらぁ~い
あれも これも
きっと ずっと
きらぁ~い きらぁ~い
たかぁ~い たかぁ~い
空と うみが
ピスタチオの
青い 木から
顔を だして
波が ゆれて
かたぁ~い かたぁ~い
ピスタチオの
殻を くだく
粉に くだく
かみくだいて
すりつぶして
粉を ひいて
からぁ~い からぁ~い
トウガラシ と
カカオ まぜて
地下に 埋めて
あかぁ~い あかぁ~い
ほのお たかく
燃えて 燃えて
はいに なって
地下の 近く
空に とおく
うみの 顔が
波に ゆれて
空に のびて
雨が ふって
ぬれる もえる
しずむ かれる
もえる しずむ
かれる ぬれる
粉の カカオ
トウガラシと
ピスタチオと
チョコの 香り
あなた あなた
そこの あなた
これを 嗅いで
これを たべて
ぜんぶ たべて
そして
ねえ おおきく
わらってよ
おねがい
(先攻・神戸)一試合完全燃焼池上-(後攻・香川)おだみかほ