過去の結果

▼10月2週

香川○-×東京
4点

お題
夏の終わり、
右手に壊れたカメラ、
左手にはボールペン

山の上に住んでいるくせに
高所恐怖症だった君
野草に詳しく
小学校の帰り道なんか
よく道端のおやつをほおばっていた
そう君は「おやつ」と言っていた

高所恐怖症だったくせに
無謀なことをよくしていた君
崖から飛び降りたり
(君は落ちたと言ってたけど)
橋にぶら下がったり
(君は足を滑らせたと言ってたけど)
そうそう、車で山の斜面を駆け下りたこともあった
(君は何て言ってたっけ)

無謀なことばかりするくせに
繊細なところもあった君
クラシックのアルバムを100枚以上持っていて
ロンドンとベルリンの違いを語ったり
カラヤンと小沢征爾の共通点を教えてくれたりした
ぼくには何にも分からなかったけど

そんな君が山に登るなんて知らなかったよ
何か調べたいものでもあったようだけど
君のことだから
また飛び降りようとしたのか
それとも足を滑らせたのか

崖の下にはきれいな川が流れていたよ
その隣で君は見つかった

夏の終わり、
右手に壊れたカメラ、
左手にはボールペン


汗 乾く

皮 剥ける

夏 終わる

写すことができなかった残像を

インク切れるまで書ききろう

汗 乾く

皮 剥ける

夏 終わる



スーッと冷めゆく

地熱と 劣情と うかれたJ-POP

ノート1冊分になろうかという

この夏 86400時間の記録

書くスピードと 忘れるスピードが

競り合いながら ようやく仕上がった ひと夏

終わるまで また来る思っていた ひと夏



2135年10月

また来た氷河期

氷に閉ざされた僕の部屋の中で

ノートに閉じ込められた最後の夏が

また来る日まで

卵のように

黙ってじっと待っている

(先攻・香川)茶韋-(後攻・東京)猫道

審判評:
どちらもおもしろくて
本当に困りました。
前半の文章で特に好きなのは、
崖から飛び降りてのところの
主観客観みたいな繰り返しが
おもしろかったです。
その表現がまた最後に
出て来るところが好きです。

後半の文章はお題の内容を
膨らましてくれたところが
素直にうれしかったです。
写せなかった残像を~書ききろう部分。
書くスピードと忘れるスピードの表現も
えにっきを書いた思い出とつながって
懐かしさのある表現でした。
うかれたJ-POPも。

-審査員:いっちー

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