現在の試合

時に貴方は誰を思い出しますか？
あの頃好きだった彼女ですか？
むかつく教師ですか？
それともがむしゃらに語り合った親友ですか？

つまるところ
思い出すのです
「秋」という季節は

色褪せたカバン
裾がぼろぼろのジャージ
汗の染み付いた体

今はあまり馴染みがないけども
全てが自分とシンクロしていた

壊れかけの校舎のきしむ声
たくさんの声に押されて息を潜めていた

全てを壊したかった
美しいものなんてこの世にはなく
あるのは自分に対する愛だけでよかった

積み上げられた積み木は
音を立てて崩れ落ちる
初めからそうだったかのように
ありのままの姿でさえも
認めたくはなかった

くそったれ！
ばかたれ！
うるさい！
きえろ！

そんなコトバだけが
モラルをコントロールしていた
消したい過去
見たくない背中

奥にはしまわないでほしい
今ここにいることの証だから

目を閉じて思い出そう
壊し続けた自分の姿
うん、笑える

「ピンポーン」

最近、館内にて
悪戯が多発しております。

そこで、
新型インフルエンザ対策
の一環として
消毒用アルコールと焼酎閻魔を入れ替えておきました。

残念、私はジンしか飲まないんだ。
やるなら輸血パックの中身をスピリッツにするとか、
それくらい
やってみせろ、よ、

瞠目

エントランスに整列する
無数の消毒用アルコール
群れの先頭をゆく閻魔の
号令とともに噴射される
無数の消毒用アルコール

げらげらげら
いつの間にか、子供が集まっていた
無数の童と、酒の霧
やめろ、やめてくれ
盆踊り
なんか、踊るんじゃない、これは

受付嬢も混じって、爺も混じって
肉団子、踊りながら、閻魔の音頭で、
右手も左手も溶けて、おれ
触るわ、揉むわで
ああ、気持ちいいなあ
気持ちい、い、
さちこー、って叫び声がして
おかーさーんって
おれが掴んだ尻が叫んで
赤いランドセルと、不似合いに成長した乳房
これは、
違う、
閻魔の

霧が晴れるころには、
げろと体液にまみれて、悪戯の言い訳をすることになる

（先攻・福岡）だいち－（後攻・横浜）しゅう