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▼9月3週

横浜○-×京都
3点

お題
朝起きると、
覆面を被った不審者が
目の前に居る

眠りは小さな死であると誰かが言った。

それはとても優しい死で、
私が今日見た風景も

噛み砕かれて印象に成り
粉砕されて味気ない言葉と成り
そしてその言葉さえ
すぐに
日々の風に吹き飛ばされてしまう。

そして私の手元には一粒の砂が残る。
すぐに振り払われてしまう小さな記憶。

……朝起きると、
眩しい光が静かに部屋を充たしていた。
それもすぐになくなる記憶。

……朝起きると、
母親が「早くしなさい」と煩く言った。
それもすぐになくなる記憶。

……朝起きると、
恋人が隣で寝息をたてていた。
それもすぐになくなる記憶。

……朝起きると、
テレビの中でアナウンサーが血相を変え、
どこかの国のテロで日本人が死んだと伝えていた。
それもすぐになくなる記憶。

朝起きると、
……
……
……

朝起きると、
覆面を被った不審者が
目の前に居る


驚いて
まばたきをすると
決まってすっと
いなくなる

壊れそうな
うたを

甘い声で

消えいりそうな
うたを

透き通るように繊細に

ねぇ
もう
おやすみなさい


ホラ
もう
お眠りなさい
って

(先攻・横浜)クロラ-(後攻・京都)小島基成

審判評:
詩的で情緒的な風情がありとても良かったです。

-審査員:タムラ

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