過去の結果

▼9月2週

京都○-×横浜
4点

お題
終電乗れなかったー!

笑った
ほんの少しだけ、

駅のホームはもうすぐで終電が迎えに来るとアナウンスを響かせる
すぐに大勢のひとにまぎれて呑みこまれて、そうやって連れて行かれる最終電車

帰りたくないな、と思う週末のよる
断った先日の誘いが、まだどこかで息をひそめていることを知っている。

会いたい、と願うだけでそばにいられる距離
てのひらの小さな駆け引きに気持ちが揺れて髪がはずんだ

手にした携帯電話を開き
ホームにあふれる人にならって階段を上がる
一段一段ゆっくりと

乗らなかった最終電車と片恋のきっぷ
行き先はとっくに決まっているから、手渡したい人にいますぐ会いたい

のぼりきった階段のさき
送信をめいっぱいに押し込んで、

笑った
ほんの少しだけ。

終電乗れなかったー!

 言い終わったとたん公衆電話が切れた。これで一文無しだ。僕は松戸駅を出た。寝込んで3駅ほど乗り過ごしてしまったのだ。だが今夜は行かないわけにいかない。
 深夜1時半、僕は荒川にかかる巨大な橋の上を歩いていた。
 「よう。兄ちゃん。」
 と、いきなり声をかけられた。後ろからきたタクシーが横についている。
 「乗ってきなよ。」
 「いいです。金持ってないから。」
 「金は要らないから乗れよ。」
 怪しげな男だったが、僕は結局、そのタクシーに乗った。
 乗り込むと運転手は、
 「シートの下に寝転がって隠れてくれ。シートじゃなく、シートの下、そこだ。」
 と、言った。
 これじゃあ何処を走っているのかわからない。服も泥だらけだ。しばらく走ってから、
 「女かい?」
 と、運転手は言った。
 「はい。」と、僕は答えた。
 少し迷って僕は続けた。
 「子どもができたんで、今夜、婚約するんです。」
 そのあとはどちらもなにも話さなかった。

(先攻・京都)トミー-(後攻・横浜)蛾兆ボルカ

審判評:
素人には難しかったですが、
前の作品は計算高い女の
乙女心を見たような気がして、
そういう女性の生き方に
少し嫉妬を覚えました。

後のほうは、正直よく
わからなかったんですけど、
書かれた方の文章能力の高さというか、
表現力、それは私にも
理解できました。
小説の一部を読んでいるようでした。

-審査員:私はJRで帰りました

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