過去の結果

▼9月2週

大阪○-×福岡
3点

お題
秋はエクステで
イメージチェンジ

M氏の本職は天使だが、その外見はうだつの
あがらない中年サラリーマンだ。頭上の輪は
消え、髪も残り少ない。そして髪同様すっか
り寂しくなった、翼。俺だって翼がふさふさ
だった頃は、バリバリだったのに。今じゃ妻
子にもバカにされて……そんな思いを翼と共
に背広のなかに畳み、M氏は今日も勤めを終
えて家路を急ぐ。職場のある小さなビルを出
て、なんばの駅へと向かった。戎橋の辺りは
人が溢れている。職場を出た時から雲行きが
怪しく、傘を忘れてきたことに気づくのと同
時に夕立が降り始めた。通りを行く人々が、
途端に足早になる、その時。M氏の目前で、
「かに道楽」のかにに落雷が!危ない!M氏
は叫んで、足の落下する辺りにいた、チラシ
配りのガングロギャルを突き飛ばした。足の
下敷になったM氏を、金色の光が包む。飛び
立つ彼の翼に、ギャルの配っていたサロンの
チラシ数百枚がまるで羽根のように……

秋はエクステで
イメージチェンジ


3本でも

4本でも

勿論2本でもねぇ

5本だ

俺の頭に屹立している



馬鹿な人間は「Qちゃんのアホ毛が増えた」と笑う

ふざけんな

俺は自分で増やしたんだ

エクステだ

季節外れの積乱雲を飛翔するイメージだ

あくまでイメージだ

俺はこの小屋に監禁され一生を終える

全可能性を奪われた俺を

人間は居候と笑う

プー太郎?じゃあお前ら何だ?

女に捨てられて泣いて

会社に拾われて泣いて

そんなお前らが俺の自由を奪ってんだ

落ち込んで髪切るお前らにこの価値は解らねぇ

隣のP子に見せたら

「バカナノ?」と言われた

とっさに俺は「バカナノ?」って返した

あの女は「バカイウタヤツガバカヤネーン!」

と叫んで奥に消えた

それでこの話は終わりだ



5本の毛が屹立している

俺の横でO次郎がお手の練習をしている

笑ってろ

この毛が抜ける頃俺は大空にいる

風任せに浮かび

腹が減ったら雲を食べ

虹の橋で昼寝する

このエクステは決意だ

次に籠が開いたらさよならだ

乾燥フードは二度と食わねぇ

見てろ

(先攻・大阪)河野宏子-(後攻・福岡)スリーピィ・タロウ

-審査員:みっきー

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