過去の結果
▼8月4週
| 横浜×-○福岡 | |
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2点 |
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お題
僕は哀れな男。
だが同情はいらない、
いつでも気儘に生きてきたから。
いいこともあったし
そうでないことも…
「そんなことより野球しようぜ」が口癖の人だった。
私が楽しい時も悲しい時も、
晴れた日でも雨の日でもお構いなく。
私の手を強引に引いて、いつもの空き地まで連れていくのだった。
まあ、大抵は二人きりだったからキャッチボールしかできなかったけれど。
お父さんが死んだ日だってそうだった。
思い出話を語る人。
酒に酔って大声の人。
相続話に忙しい親戚。
みんなお葬式という舞台に上がった役者たちだった。
私も当然その中にいて、
名前を知らないおばさんのお悔やみの言葉に相槌を打ち、
少し泣いたりなんかした。
でも、
やはり彼は私の手を取って、
黒々とした喪服の人だかりから、
少し照れたようないつもの台詞で、
私を連れ去っていくのだった。
彼が何を考えていたのか分からない。
彼が最後に遺した手紙だって、どこまで本当だったんだろう。
僕は哀れな男。
だが同情はいらない、
いつでも気儘に生きてきたから。
いいこともあったし
そうでないことも…
素足には危険が付きまとう
今朝ぶつけた小指はそのことを教えてくれた
風は季節を伝えてくれるけど
肌で季節を感じるより
思い出が脳に信号を送る方が早い
でも目を閉じると彼女との別れのシーンが真っ先に
みんなが好きな春も
部屋の隅で足を組みたくなる
辛すぎる甘すぎるも
間を取れば調度いいになるのに
あえてそれはしない
両極端な味が常に自身と不安を与えてくれる
寂しいのに泣こうとしない
涙が言い訳を作ってくれるから
自分の言い訳は自分で考えたい
悲しい口答えも責任はこの手の中に握りこむ
こぼれる光がないくらいしっかりと
夕日が消える
赤くなっていた庭も
黒の化粧をしてうずくまる時間
夜が怖いなんて思ったことはない
目を閉じればいつでも会える親友だから
色んなことに目を閉じすぎて
前を見ることを少しためらうようになった
これも夜を好きになったせいだと思う
でもやっぱり進もう
先に見える足跡に自分の足を重ねて
今日におはよう
明日におやすみ
(先攻・横浜)クロラ-(後攻・福岡)だいち
審判評:
考える作業の難しさは重々承知ですが
辛めに点を付けさせていただきました。
期待していた文章とは違う形に仕上がっていましたが、
かえってそれが表現、言葉のパターン、自由さに
改めて気付くことになりました。
-審査員:ローン無くなれ
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