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    thunderbolt

    にゃんしー
    2000円
    純文学

  • 虹村市の女子高生・虹村雷には、ふたりお父さんがいる。

    同性愛者が多く暮らすその町では、
    おかしいことではない、と、学校で習った。
    おかしいと感じてはいけない、と、みんなが言った。

    だから虹村雷には、「ふたりのお父さん」との接し方が分からない。

    「ふたりのお父さん」に与えられた野球は、
    歯向かうための手段だったのかもしれない。
    「ふたりのお父さん」に対してであり、
    同性愛がまともなこの世界に対してであり、
    それをまともではないと感じる、自分に対してであった。

    雷のように、すごく高いところから飛び降りたいとずっと思っていた。
    雷に打たれると、性別が変わることがあるという。
    「ふたりのお父さん」を雷で打って、まともにしたかった。
    「サンダーボルト」という、自分を定義する最強の変化球を携えて。

    LGBTや全てのマイノリティを問うのではなく、答えるのではなく、語るのでもなく、
    ただそこに生きた人々の群像を描く野球純文学。

試し読み

   第一章 世の中はなんでもあることに満ちすぎている

    1

 いつも高いところを探していた。わたしを確実に殺してくれる、飛び降りることのできる、すごく高いところを探していた。けど、わたしの住む町で一番高いビルといえば、わたしの「ふたりのお父さん」が持っている本社ビルに違いなくて、そこの最上階は、つまりわたしの部屋なのだった。例えばガラスを突き破って地上三〇〇メートルの中空に身体を投げ出したとして、そこから見渡せる全ての建物は、わたしの「ふたりのお父さん」が持っているものに違いなくて、そんなところではぜったいに死ねないのだった。そう、わたしには、ふたりお父さんがいる。同性愛者が養子として子どもを持つことは、ぜんぜんおかしいことではない、と、少なくとも学校ではそう習った。でも、わたしがほんとうに知りたいことは授業にぜんぜんなくて、愛することが声高に語られる授業の最中、わたしは意識をそっと手放して、窓の向こうに広がる青い空のなかを探した。山陰地方には珍しく、あの町はいつもよく晴れていて、たいてい雲ひとつなかった。そして、静かだった。この静寂を突き破る雷みたいに、わたしはなりたいと思った。知ってる? 雷に打たれると、性別が変わることがあるんだって。わたしの「ふたりのお父さん」を雷で打って、まともにしたい。そんなこというと「差別だ」と叱られるから、だんまりを突き通すのだけど。そもそも、何かを主張したいわけじゃない。ただ、おかしな世界のなかでは、もっともまともなわたしが差別されてる気がして、気持ちわるいだけだ。

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