「鍍金的深夜のファミレス」

でたらめに星が並んだ夜のこと 目を光らせて出かける準備

お星さまの評論家気取り彼氏気取りにぎやかな深夜のファミレス

星同士のケンカだパンチが当たるたび夜空に上がるぐちゃぐちゃな星

来年の花火は一緒に見ようね、とコメット・ハレーと約束したこと

図書館で迷うというのは本たちに愛されている証拠なのだよ

おおい、ぼくだ。いい子にしてれば小さな死をあげるよ窓を開けておいてね

視えなくても残った絆があるかぎりトゥインクルぼくはだまされないぞ

戦いは昨日の明日 おとうとは短歌バイキングで腹いっぱい

絶対に泣かないことを条件に星の紳士に会わせてあげる

彗星にみんな何かを盗まれて、恥ずかしいから話はおしまい。

       ■ 壬生キヨム

「足で立つこと」

村長の家を訪ねる海賊に名を奪われた星をたよりに

想像と違った味だ失ったものを探せぬひとのスープは

ぼくはぼくだ初歩的な考え方だ孤独のために砂漠を歩く

何も無いところでみつけるいちめんの砂つぶ・孤独・美しい井戸

いつまでも憎まれたまま黙ってるかつては空をたがやしたひと

砂を掘る みつけることは選ぶこと そのさみしさが今ならわかるよ

ル・プチ・プランス最後のページにそっくりな景色の中で眠り心地だ

あこがれを詰め込み砂漠の図書館で見たことのないあおをみつける

どの子どもも寝る必要がある食べる必要がある足で立つこと

光は敵 孤独をうつす目を持ったフェネックきみを飼いならしたい

       ■ 壬生キヨム