カラカラ音をたてて回る扇風機。
麦茶のなかで氷が割れる。
すだれの隙間から見える入道雲。
4線のノートに並ぶ英単語。

外から「わあ」と歓声があがったので見たら
プール帰りの小学生たち。
真っ黒に日焼けしていた。

「夏の王様」は、どこにでもいる。
王様だけれど、特別なものなんかじゃなくて
ふとした景色のなかに、冠が見える。

それはたぶん、夏が近づくと誰もが感じる
けだるさのなかで、何かわくわくするような
えもしれぬ冒険心のことなのかもしれない。

夏の王様に、会いにいく。

第六話「大阪ダンジョン」
2011.08.21(Sun)

夢と希望なんかの
きらきらしたものが詰まった
「宝箱」がいっぱい
その場所には転がっている。
お金がないので
そのうちのひとつも
手にすることができないけれど。
第五話「姫ボール」
2011.07.25(Mon)

本当のかわいさは
土の匂いのなかにある。
第四話「夢をみる箱」
2011.07.23(Sat)

ずっと箱を持ってた。
その箱のなかに、夢をつめてた。
ずいぶんと経ってその箱をあけたら
もう夢なんて、入ってなかった。
その代わりに。
第三話「なんにもないが、あるんだよ」
2011.07.16(Sat)

せっかくの夏休みなのに
どこにも連れてってもらえず
友達にもらった、遊園地のパンフと
にらめっこ。
仕方がないので僕は
自分だけの場所を探しにでかけた。
第二話「湾岸アート」
2011.07.10(Sun)

「どうしてこれがアートなの?」
君に聞かれて僕は、
天井を見上げた。
美術館は迷路に似ている。
君に会えなくなってからも僕は
その答えを見つけられないでいる。
第一話「青いそらの下のまち」
2011.07.02(Sat)

大阪から山を抜けて
電車で1時間のところにその町はある、らしい。
その町については、何も知らない。
行ったことなんか、もちろんない。
ただ、その町から来たらしい女の子の雰囲気が
その町の空の、透き通るような青さを思わせた。


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