カマタまで文学だらけ
出店者名 にゃんしー委託
タイトル 世界革命のシンタックス
著者 木野誠太郎
価格 1000円
ジャンル ライトノベル
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紹介文
2050年.《大災害》によって主権国家体制が崩壊し小規模な集落《コミューン》が無数に発生した世界では、高度な未来予測システム《AURA》によって効率的に人類が管理されていた。システムに組する者は厚遇され、システムに反する者は高い税率や住居の制限によってスラムに住むことを余儀なくされた非人道的な社会のなかで、革命組織『新世会』のリーダー・金刀比羅さつきに見出された記憶喪失の青年・カイは翻弄される。
「それでは――諸君。革命を始めよう」
シナリオライター・木野誠太郎の贈る、予測不可能のサイバーアクション、開幕。

 小銃が三度動いた。
 赤く、黒く、するどく。弾丸は俺の身体を貫通する。内臓あたりがやられただ
ろうか。
 しかし、エンドルフィンの作用からか肉体は痛みを訴えない。
 まだやれるな。
 瞬間的に判断し、俺は向かってくる弾丸を避けずに、銃弾の射手を両手に抱え
た銃剣で突いた。黒い防弾服を着た中年男の心臓を一突きすると、裂くように上
へと刃を振り上げる。噴き出す鮮血が白刃を赤く染めていった。
 どうやら、警備兵といえど実戦経験はあまりないようだ。これなら、何人かま
とめて現われても、十分に対応できる。
 中央省庁特注の防弾服は厄介だが、急襲に慣れていない相手ともなれば間合い
を詰めるのは簡単だった。彼らの銃を持つ手が震えているため、まず急所には当
たらないのだ。そこを利用して、小さなカーブを描くように突撃すれば、接近し
て喉首に刃を立てるのはたやすい。
 対象を殺害したのを確認すると、俺は人民管理省のさらに深奥へと向かってい
く。
 そこから数名の警備兵を殲滅し、無機質なコンクリート製の床を駆けると、出
迎えるようにして自動開閉のドアが開く。
 五十人ほどの人員が作業できる広々とした一室。ここが中央管理室だ。しかし、
この大事にもう人は出払っているようで、管理室には誰もおらず、警報音だけが
けたたましく空間を埋めていた。
「AURAより命のほうが惜しいか。ま、こちらとしてもそのほうが助かる」
 誰もいない部屋でそう一人ごちると、さっそく中央管理室から通じる非常階段
のセキュリティを銃弾で破壊して、上へ。
 AURAのいる六十階まで、階段を使えばあと十分といったところだろうか。
 すこし身体が痛くなりはじめた。
 しかし、あと十分もあれば十分だ。