カマタまで文学だらけ
出店者名 壬生キヨム
タイトル コロシアイ
著者 壬生キヨム
価格 200円
ジャンル 詩歌
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紹介文
既存の漫画・アニメ・小説などに萌えたエネルギーを短歌の形にぶっこんだ短歌の本。

■目次
義兄の才能

メルカトル鮎が動いてくれない

完全版 黒ねこのしっぽを切った話



兄の才能


■参考文献
High&Low
ミステリ(麻耶雄嵩作品)
よくないおしらせ
俺以外イケメンのおしらせ(自主二次創作)

義兄の才能


理解する 人は眠っているときこそ腹が減るからまた起きるのだ

昔話勝手に寝るまで聞いている兄の兄にはなれないけれど

縄を綯う才能だけは兄弟に負けても別にくやしくないなあ

いつの日か優しいだけの年上にかどかわされそうな弟である

寝語を言うわけではないけど隣でもここから先はプライベートだ



月光をきれいに歩く弟にあびせまくって酔わせてみたい(か?)

思い出を作りに行くのだ最初から記憶としてしか残らないもの

弟がほしかったっていつか言う日がくるまでは兄弟だろう

真ん中が人一人分空いているところに俺がおさまる器か

合格か不合格かでいうならば合格だけど 兄の才能


寂しくて強がりの女の子をとじこめた歌集
「わからないことをわからないまま書く」のは、天才の所業だ。
それを言ったら、詩歌は本質的にはむき出しの才能の勝負だと思っている。
「天才という言葉を軽々しく使うな」と大学のころ教授に言われたことがあるけど、
軽々しくない天才が存在するのも事実だと思う。
「才能とはつまり運のことだ」と、ある漫画に書いてあった。
そう考えると、詩歌における天才というのは、言葉に愛されている人のことなのかもしれない。

さて、壬生キヨム歌集「コロシアイ」である。
一言でいうと、不思議な歌集。
でも、とても好き。
どこが好きかを尋ねられると答えるのが難しいのだけど、例えばこの歌。

思い出を作りに行くのだ最初から記憶としてしか残らないもの

とても悲しくなってしまう。
「コロシアイ」は、キヨムさんの短歌は、ポップで、かわいくて、
なのにその裏に悲しさがある。
強がっているけど、ほんとうはこわくて、怯えている。

表紙こそ明るくて、短歌も一見明るいのだけど、
中身はどっちかというと悲恋とか別離に近い、と思う。

「コロシアイ」という歌集自体が、そういう弱さをはらんだ
ひとりの等身大の女の子の姿なんじゃないだろうか。
そんな話をいつか書いてみたい。
書いてみたいのは、それを読んでみたいからだ。
推薦者にゃんしー