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願って、変わって、その先に。 |
書籍名 |
ハミングバード(ジャイアント) |
作家名 |
らし |
購入イベント |
文学フリマ東京 |
タグ |
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紹介文 |
『読む電柱』でおなじみ、おとといあさってのらしさんの、本の形をしていない本です。 折りたたまれた一枚の紙を、開いたりめくったり回したりして読みます。 巨大であることにあこがれるハチドリのお話ですが、主人公の視界のように徐々に大きく広がっていく紙面、一転、ちいさくちいさく、ぐるぐる回っていく文面。 記されている物語と、その物語を読むことという物語ふたつを味わうことができます。らしさんの作品はハミングバードに限らず皆そうですが、ハミングバードは一枚の紙でありながらそれを得られるってすごいなあと思います。
身体の小さいことにコンプレックスを持っているハチドリが、涙の代わりに歌をうたうことを覚えた少し後、突如現れた巨人と身体を交換することに成功して・・・・・・。というお話です。 とても寓話的なお話で、「身の丈に合わない願いはするな」というテーマかと思ってしまうのですが、失ってから価値に気がついたものを取り戻すことはできないけれど、誰だってなにを願ったっていい。なにもかも失うかもしれない、絶望にうちひしがれるかもしれない。それでも見つかるものがきっとなにかあるから。私はそんなように感じました。 誰かがなにかを願うことは、願いを叶えたとして、罰を受けるほど悪いことでしょうか。願いを叶えて、こんなはずじゃなかったとなる話はいつだって「願ったのが間違い」という印象を受けます。その点に対してのある答えと、そこからの一歩を感じることができたことが『ハミングバード』という作品を今年最も好きな本に挙げた理由だと思います。
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