尼崎文学だらけ
ブース ファンタジー3
浮草堂
タイトル K〜天獄の厳霊〜
著者 浮草堂美奈
価格 200円
カテゴリ ファンタジー
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紹介文
ヘンデル「オラトリオ「ソロモン」シバの女王の入城」―。
バイオリンの音と共に、私は殺人鬼に誘拐された。
見せつけられる残酷な殺戮。
何故、こんな目に遭わないといけないの?
その理由を、音色が教えてくれた。

 誅せよ。
 それが唯一の正義である。

 この結婚は失敗するんじゃないか。
 ぽんちゃんの大きなお腹を見て、私はそう思った。
 ぽんちゃんはうちの大学で評判のしっとりふわふわチーズケーキを前に「あたしだれー、ここどこー」とぶつぶつ呟いている。


あなたはご存知ですか? 《長女》の中に潜む怪物を――
 全国の長女に捧ぐ衝撃作…日常から非日常へ急転直下、なのに目が離せずのめり込んでしまうのは、物語の中核である“彼女”の感情と経験に少なからず共感してしまうから。壮大な長女あるあるきたでェ…!

 そりゃね、長男も次男も次女もそれぞれに大変なのは、わかってるんです。でもね、長女だって辛いんです! この話くらいの鬼を心に棲まわせているんです…。各所で「女の子でよかったわね」という言葉を聞いたときに感じる気持ちの悪さの正体が、この作品を読んで見えたような気がします。

“長女だから”という呪縛は、戦争屋の力を以てしてでないと断ち切れないものなのか……“長女”のなかに渦巻く残虐性を、容赦なく描き出されていたことに、ただただ感嘆でした。うん、でも、戦争屋さんのお世話になる前に話しあいして解決しよ? 針は嫌だもんね?

 駆け抜けるような勢いで進む物語ですが、叙述的な仕掛けもあって思わず何度も読み返してしまいます。決して戻ることのない道を選んだ“彼女”に敬礼を。

 『K』シリーズはWEBで掲載されている長編シリーズに絡みがあるとのことですが、同人誌版はいずれも独立していてどこからでも読めるとのこと。容赦ない展開を求めるあなたはぜひ!
推薦者世津路 章
推薦ポイント世界観・設定が好き

スピード感のある強烈な展開。抑圧と解放。

その中にある、家族という檻。
『長女』にかける拘りをひしひしと。
推薦者まるた曜子
推薦ポイント物語・構成が好き