尼崎文学だらけ
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委託販売
タイトル ELYSION
著者 スノーマン
価格 400円
カテゴリ ファンタジー
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紹介文
魔物を倒して生活をする傭兵が人気職業となった世界ホワイトランド。
田舎の村から出て来た主人公ジークは、官僚になるはずが根本的な手違いから傭兵と魔法使いの養成学校『エリュシオン戦闘専門学校』に入学してしまう。
個性豊かな仲間達と出会い、明らかになっていく世界の真実と『人間性』を巡る喪失の物語第一弾!
友情とは、人とは…というのがテーマとなっています。

― 序幕 ―

音のない闇の中、どこからかおぼろげに尋ねる女の声が聞こえた。
「もう時間だね…×××、…私の愛しい子。最期に言う事はあるか?」
「…ありません」
何もないそこに佇む青年は、はっきりとした口調で答える。
肩の辺りで切った銀色の髪が特徴の、意志の強い瞳を持つ青年だった。
もうこれ以上話すことはない、と言いたげなその声に顔色一つ変えずに、闇の中から浮かぶように姿を現した女は少し間をおくと訊ねた。
「…一つだけ聞かせてくれ…どうして人に惹かれた?人は自分を守る為ならば平気でうそをつき、人を傷つける。そんな愚かな生き物の何がよかったのだ?」
肩の下あたりまである銀糸のような髪を二つに分けて結んだ女は、正面に立つ青年にまた訊ねた。美しくも冷たい印象のあるその顔に表情はない。
「…………」
青年は俯き、黙る。まるで理由を探すように視線を彷徨わせ、やがてぼそりと答えはじめた。
「…たしかに、人は愚かでどうしようもない物でしょう。短い人生の中でほとんど悩みながら生きています。そして死に際はどんな生き方をしても後悔をする」
青年は淡々とした口調でそう言い、最後にもう一度「愚かな下等種です」と付け加えた。
「そうか…ではなぜ人に価値を感じた?何がお前を動かした?」
女の赤い唇がゆっくりと片方に孤を描く。青年は俯いたまま首をゆるりと振り、こう言った。
「俺には、彼らが生まれた意味も、価値もわかりません」
そう言った青年はどこか懐かしむように微笑み、目を閉じた。
脳裏に浮かぶのは、かつて共に暮らし良い事も悪い事も全部一緒に味わってきた大切な仲間達。
今はもう世界中のどこを探してもどこにもいない、大切な思い出。
「…でも、わからないからこそ…その生き方や想いに憧れたんです」
青年は顔を上げ、そう言って大事に持っていたものを取り出して見つめた。
仄かな温もりを持つ純白の石は、仲間の一人の最期の咆哮の後に残っていた命の結晶。酸素に触れ赤黒く変色したこのリボンは最期まで諦めなかった仲間の生きた証。
だから自分も、もう諦めないと…立ち止まらないとあの時誓った。
彼の持つ両目は過去と未来を視る事の出来る力を持つ瞳。
この瞳がある限り『この世界』は終わらない現実を見続ける事になる。
そして最後に床に突き刺さったままになっていた剣を抜き取ると、自身の首に刃をあて、誰に言うでもなく、小さく呟いた。


最高なキャラを、最高なストーリーで楽しもう!
主人公ジークをとりまく仲間の大切な”何かを”思い出させる
学園モノファンタジー。
何故かジークには人が集まる。
少しずつ信頼関係を築き繋がる絆。
なのに痛快ギャグが満載!!
あなたも「死んだ魚のような目で」読もう。
推薦者第一回試し読み会感想
推薦ポイント人物・キャラが好き

続きが気になる作品
先の方も書かれていますが、人物の人柄や仲間同士でのかけあいがとても魅力的な作品だと思います。
また、現在発行されている1巻で物語の雰囲気がしっかり伝わりました。
主人公は王道の性格をしていますが、作者様の書かれている喪失の物語というのがどうなるのか、2巻以降が楽しみです。
また、文章もわかりやすく深く考えずに読める物語です。
推薦者シオーネ
推薦ポイント人物・キャラが好き

キャラが繋がり連鎖する物語
とにかくキャラクターが素敵。
ひとりひとりもさることながら合わさった時の掛け合いや想い合いが最高です。
動きにもリズム感があり、読んでいて楽しいです。
世界観はサバイバルファンタジー。
ワクワクします。
大好きです!
推薦者WSNB
推薦ポイント人物・キャラが好き