尼崎文学だらけ
ブース 評論A
Re.set
タイトル ((省略:画像でご確認ください))
著者 りりあ
価格 200円
カテゴリ 評論
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紹介文
赤い花の観察記録(再録本)

タイトルが出オチです。

 その年の9月頃。一つの書き込みが、また話題を駆り立てる要因となった。
『来年度の入学案内のパンフレットに、第一期生全員の顔写真が掲載されているぞ!』
 真偽のほどを確かめるために、私も資料請求してみた。
 噂の真相は……事実は小説より奇なり。
 第一期生全80人の全身写真と、本名とコメントつきという、ファンには生唾ものの充実っぷりの内容。まさに永久保存版といっても過言ではない豪華入学案内パンフレットだ。
それよりも何よりも、人々を震撼させたのはその大学の第一期生・80人中45人が中国・韓国からの留学生ということだった。
 留学生を受け入れると国から補助金がもらえるそうで、学生を定員数確保できなかった地方の私立大学などは、手っ取り早く中国や韓国から学生を集め、在籍学生数を稼ぎ、補助金で損失を補填している所が多い。この大学も大多数に漏れず、最初からそれ狙いだったのか、はたまた偶然だったのか。真実はマリアナ海溝の下に沈んでおり、一般人では探ることすらかなわない。
 また教授の紹介では『朝鮮と日本を繋ぐ海底トンネルを建設しよう』などドヤ顔で赤い鼻息を荒くし、語っていたりと、きな臭い話題満載。入学案内と書かれていなければ、どこの団体の機関誌だ? と疑うほどのアジア太平洋推しに動揺を隠せなかった。
<中略>
まさか、高校生の時にすらどこにも行ったことのなかったオープンキャンパスに、大学生になってまで、大学のオープンキャンパスに行くことになるとは……。
運命という言葉を、このときほど噛みしめたことはなかった。