かつて住んでいたのは京都駅よりも南側。鴨川の下流付近。家賃は激安。だが治安的にはいまひとつどころかふたつ、みっつ、よっつ。 近くの公園は某国の工作員養成学校の『運動場』として不法占拠中。周辺道路は不法投棄の車が無数に放置されていた。道を挟んで密集するボロボロのバラック小屋には人が住んでおり、電信柱には謎のハングル文字の張り紙。夜中にゴミを出したなら、回収車が来る前に、出したはずのゴミ袋が消えていたことも一度や二度ではなかった。 京都を離れて数年。ひさしぶりに近辺を訪れると、不法投棄の車は撤去され、某国の学校は閉鎖。群がっていたバラック小屋もなくなっていた。代わりに自家用飛行機でも飛ばすつもりなのか、広くて立派な道路が整備され、さながらここだけ近未来シティ。住んでいた頃の混沌とした面影は完全に葬り去られていた。 やれば出来るな、京都市! という賞賛とともに、一抹の寂しさを感じた私は、カオスだったこの土地のことを是非とも記録に残しておかなければ、という使命感で筆を走らせてみたものの、出来上がったものは、ぐぬぬぬ……。 一旦はボツにした原稿の中から、京都に関係の無い話を集めてみたところ、韓国人のみなさんとの心温まる交流と、韓国料理に対するリスペクト、韓国旅行の楽しさを綴った、愛に満ちあふれる一冊へと大変身。 無事、日の目を見ることとなりました。 この本が韓国に対する歪んだ見方、偏見などを見つめ直し、韓日友好の架け橋となることを期待しつつ、みなさまにお楽しみ頂ければ、これ幸いでございます。
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