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鷲羽友久の好きなもの。 |
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本作は、とある大学を舞台に、著者二名が交互にストーリーを紡いだ「リレー小説形式」の作品である。 六本ずつ、計十二本の物語を一年に渡って繋ぎ、作中でもちょうど一年の時の流れを経る、というスタイルだ。 私は大学を経験したことがない。だが、日常のざわめきが非常にリアルに伝わってくる、伝えようとしている作品であると感じた。 学校生活の中にある喜び、戸惑い、葛藤、さまざまなものが、受け止めやすい速度で飛んでくる。 そうしたいたって普通の世界の中に「普通ではない瞬間」がフッと出てくる。現実にはこんなことはないだろう、でももしかしたら……と思いながら彼らの季節を追った。 ストーリーの中に、カメラで写したような、「写真」のような風景を感じることもあった。 ……などと書いていると非常に難しい内容のように思えるが、軽快な速度で進んでいくため読みやすかった。 作者が変わるとストーリーを先導する視点人物も切り替わる形式であったため、バランスの良い区切り方になっていた。このことも読み進める速度を上げた一因だろう。 一緒に学校生活を送ってみたい、そう思えるような登場人物たちが一年を巡る。後味の良い作品である。 特別編が収録されている別冊もセットになっており、こちらには作者インタビューもついているなど、ボリュームも満点である。是非、オススメしたい。 | ||||||||||
推薦者 | 月慈稀羅 | |||||||||
推薦ポイント | 人物・キャラが好き |