出店者名 浮草堂
タイトル 金蚕
著者 浮草堂美奈
価格 100円
ジャンル ファンタジー
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紹介文
悪人が悪を極めんとする物語。
世界を悪に染めんと自らに呪術をかけた男、金蚕。
破滅の中日本を奪い取ろうとする女、沼御前。
彼らを軸に呪術師達がおりなす悲しい小説。
別名 スーパー呪術大戦

「じゃあ、もう殺すぜ」
「待って。今まで誰もあたしに賛成してくれなかった事を聞いて」
 金蚕は暫く考え。
「いいぜ」
 少女は俯いた儘話し出した。
「幸せな人見てるとイライラするの。どれだけの不幸の上にその幸せが成り立っているのかって。不幸な人見てるとイライラするの。いかにも「どう? 不幸よ? 憐れんで?」って自慢してるみたいで。不幸から幸せになろうと頑張ってる人見るとイライラするの。「面倒臭いよ。苦しいよ。もう嫌だよ」って伝わってくるの。もう面倒なら死になさいって思うの。「頑張ってる頑張ってる」って一人頑張ってるみたいな顔して鬱陶しいの。人の奮闘記とかテレビでやってるとチャンネル切るの。そしたらママやパパはこんなに良い番組を何で観ないんだ、って怒るの」


愚かさと愛おしさとほんの少しのおかしさと

「スーパー呪術大戦」というのは、ストーリーの説明としてはふさわしいけれど、そうじゃない!それだけじゃない!!と叫びたくなる物語。

この物語は悪が世界を制していく。悪のほうが正しい、と主な登場人物たちは思っている。でも、それは善になれなかった故に悪を選ばざるを得なかったことの裏返しだったのではないだろうか。
そんなエピソードが満載で、とにかく人間は愚かで愚かで愛おしいし、どんな状況でも笑い合える瞬間というものはある。終わりがどうであれ、その生き様を見せてくれよ!っていう、そんな熱さと勢いを感じました。
推薦者なな