出店者名 ペーパーカンパニー
タイトル 森の精霊物語
著者 豆塚エリ
価格 1200円
ジャンル 純文学
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紹介文
病弱で一人ぼっちの少女は、
いつもいつも泣いてばかり。
やがては少女の涙が雨となって、
毎日森に降りしきるようになりました――

画家・二宮敏泰と詩人・豆塚エリが二人で手掛けた初の絵本。
森のお屋敷に住む泣き虫の少女とあじさいの恋物語、森に迷い込んだ青年と妖艶な月の物語の二編収録。奇妙で不器用な愛の物語。
(こんぺき書房より)

絵本作品の体裁を取る純文学作品を若干部数持ち込みます(ま)

花の章 起

森の中に、
一軒の大きなお屋敷がありました。
そこには可愛らしい少女が住んでいました。
病弱で一人ぼっちの少女は、
いつもいつも泣いてばかり。
やがては少女の涙が雨となって、
毎日森に降りしきるようになりました。
森の生き物たちは、
毎日雨が降るので困ってしまいました。
これじゃあお花の蜜を吸いに行けないや。
せっかく実った木の実が落ちてしまうよ。
森の中は霧が立ち込め、
生き物たちは雨に濡れぬよう、木々に寄り添い青色吐息。
みなからだにつゆをまとわせてぶるぶると震えていました。
森のだれもが泣き虫の少女を疎んじました。
少女は自分を憐れんでいっそう涙に暮れました。