出店者名 ペーパーカンパニー
タイトル 片隅04
著者 伽鹿舎
価格 1000円
ジャンル そのほか
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紹介文
片隅は伽鹿舎から刊行されている文芸誌です。豆塚エリ(敬称略以下同じ)の小説「ドールハウス」収録。
伽鹿舎は非営利の週末出版社、「片隅」は九州限定で販売されています。
谷川俊太郎の詩、他15名による、コラム、写真、小説、エッセイ、解説、短歌、歴史探報など。
「ドールハウス」は豆塚エリ詩集『あまざらしの庭園』ともリンクする小説です。
若干数の頒布となりますのでご了承くださいませ。

 久々に訪れたショッピングモール内のみんなのトイレは、映画が終わったばかりということもあり少し混んでいたけれど、新しいだけあって広く、快適そうだった。
 車いすが動かないようにブレーキをかけて、みこちゃんは私を脇の下から抱きかかえ、ぴかぴかの便座に座らせる。
 私は手すりにしがみつき、言うことをきかない胸から下の体が便器からずり落ちないようにバランスを取る。その間にみこちゃんが私のワンピースをたくしあげ、露わになったショーツをおろす。ショーツにはさんである新生児用の紙おむつが便器に落ち込まないように気を付けて上手に外す。みこちゃんが筋肉がおちて骨ばった私の足を大きく広げて、おしっこの穴に導尿用カテーテルという透明で細長い管を差し込むと、おしっこが管を通って便器の中へとこぼれていった。音が止むとカテーテルを抜き、洗面台で洗って消毒液が入ったケースに差し込んで鞄にしまう。紙おむつをあてがいながら上手にショーツを引き上げ、車いすへと再び移乗させる。そのすべての高低を手早く丁寧に、みこちゃんはやってくれる。見た目は華奢なのに、驚くほど力強い。
「ちゃんと水分採ってる?」
「採ってるよ」
「その割に量が少ないんじゃない? 色も濃いし」
「うるさいな」
 私はわざと反抗的な態度をとってむくれてみせる。