出店者名 午前三時の音楽
タイトル Re:quiem(in peace.)
著者 藤代 明日美
価格 900円
ジャンル そのほか
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紹介文
FF7レノ×イリーナ二次創作/R18/A5オンデマ/292頁


赦すだとか、赦されるだとか、受け入れるだとか。
まるで愛か何かのようだ、なんて感慨が胸の内をかすめるのだけれど、これが幻で無いのだとしたら。


2011年〜2016年に別名義で発行した本からの再録集。R18作品多めです。
かみ合わない歪な身体と心を寄せ合い、互いのものでしかない孤独を重ね合いながら束の間の安らぎを夢見るふたりの愛には遠く、それでいて愛と呼ばれるそれにどこか良く似たいびつでもどかしいひと時の軌跡。


・基本的に内省的で重めのシリアス。読んでて割と暗い気持ちになるのでハッピーになりたい人はご注意ください。

長めの試し読み→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7895123

「なんかこうしてると、いろんなこと忘れそうになりますね」
「いろんなって、どんな」
「何で先輩とこうしてるのかとか、いろいろです」
「何でって、恋人同士だからじゃねえの?」
「じゃあ、そういうことにしておきます」
 答えながら、ふふふ、とどこか満足げにイリーナは笑う。ああそうだ、この後輩の女は確かにこんな笑い方をしていた。どうして自分は、そんなことすら忘れてしまえたのだろうか。
 絡めた指先の力を僅かに強めるようにしながら、レノは力無くそっと息を吐く。見上げれば、空が高い。溶けてしまいそうだ、などと柄にもないことまでぼんやり浮かんでくる。
「あのさ、イリーナ」
「何ですか」
「いや……なんか」
 感情の流れが、何かにせき止められているかのように上手く吐き出せないままでいる。もつれたままの言葉は複雑に絡まりあって、上手く立ち上がってすらくれない。
 冷たかったはずの指先に、いつしか血が通い始めているのをレノは感じていた。それも全て、体温を分かちあったからだ。
「動物ふれあいショーだっけ? 行かなくていいのか」
 ぎこちなくそう尋ねると、途端に肩を震わせてイリーナは笑い出す。
「先輩がそんなこと言うの、すごく変です」
「お前だろ行きたいって言ったの、」
 どこか不満げにそう返すレノを前に、そっと首を横に振りながら、イリーナは答える。
「いいですよ、このままで」
 言い聞かせるように静かに、言葉が続く。
「このままがいいんです」
「イリーナ……」
 その先に続く言葉が見つけられないまま、ゆっくりとぎこちなく視線を逸らす。それでも、繋がれた指先は解けないままで。