出店者名 hs*
タイトル ぐるぐるメビウス
著者 せらひかり
価格 500円
ジャンル ファンタジー
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紹介文
ぐるぐるした話やちょっと暗い系、
アンソロジーやお題参加作の短編、掌編再録。pp加工・本文は白い紙…
メビウスぐるぐる
光あれhttp://ncode.syosetu.com/n2032dl/
それはあるいは、彼女についてhttp://ncode.syosetu.com/n9497dr/17/
お題参加作品(こいねがわくは黄昏の、など)http://ncode.syosetu.com/n5162dq/
朱い山
など。
書き下ろしは、艶子と佐藤さんの話、光あれの続き、メビウスぐるぐるの関連作で、ぐるぐるメビウスなど

メビウスぐるぐる
「ねぇ、紀ノ川さん。教えてくれませんか」
 夜道を歩きながら、そんな声を掛けられた。
「僕は一言も名乗っていないし、君のことも全く知らない」
 黒縁の眼鏡を持ち上げながら言い返す。よくよく見れば、そこには長いリボンをシャツの襟首に巻いて緩く結んだ少年が、水色の蛇を片手に立っていた。

それはあるいは、彼女について
 彼女のことを聞きたいんでしょう。僕が彼女に会ったのは、この喫茶店でした。ほら、そこの奥。いつも薄暗くて名前も分からないクラシック音楽が流れている。

午前三時のご主人様
 奥様は変だ。
「貴方は本当にきれいねえ」
 にこにこしていて、悪気のかけらもないことは分かっている。
 けれど、人をいろいろと着せ替えようとするのは、迷惑な趣味だった。

オレとメガネ
 ずっと黙っていたことがある。そう切り出されて、オレは、言葉の続きを待った。
 オレの部屋。乱雑に服とか脱ぎ散らかしたままで、布団もよれているのが、やけに目に付いた。
 オレの向かいに座って、教科書から顔をあげて、奴は言った。
「実は俺、メガネが本体なんだ」

竜がいた
「旅人さんかい? 運がいいねえ」
 なみなみと注がれたコーヒーのカップを受け取りながら、そんなことを聞いた。
 古い絨毯に似た日除けの幕の下、メラニンに守られた肌と真っ黒い目の男が、ぐつぐつに煮たコーヒーをさらに煮詰めている。