出店者名 サテライト!
タイトル 海のとなり
著者 古月玲
価格 200円
ジャンル JUNE
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紹介文
イルカは頭が良いといつか誰かが言っていたけれど、オキゴンドウはどうなんだろう――
海のとなりで、世界の終わりを夢想する。


某水族館へ初めて行った興奮をぶつけたら何故か厭世的な気分が漂いまくった掌編集。

 しばらく前までずいぶんと騒がしかった世界は、今はとても静かだ。
 青さを取り戻せなかった空は夕焼けに染まりつつある。
「どうなっちゃうんだろうねえ」
 そう言ってみても、カヤは答えない。
 そりゃあそうだ。
 カヤは人間の言葉を解さない。否、もしかすると解しているのかもしれないが、彼女は人間に理解できる形で人間の言葉を話すことはできない。
 だから、わたしとカヤの間に――すくなくとも言語による――会話は成立しない。
 だからきっと、お互い、ひとりっきりと同じだ。
 カヤはわかっているのかいないのか、プールの中を悠々と泳いでいる。
 ときおり水面に顔を出す。黒く艶やかな頭。
 たまにわたしに何か言うみたいにするけれど、わたしにはやっぱり彼女の言葉はわからない。
 そしてまた悠々と泳ぐ。泳ぎ続ける。