出店者名 そらとぶさかな
タイトル さびしがりな灯台の話
著者 そらとぶさかな
価格 400円
ジャンル ファンタジー
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紹介文
海と山の間に、孤独に立つ灯台はものすごいさびしがりやだった。
灯台は色々なものたちとの交流を通じて、自身のさみしさについて考えていく。

 あるところに、灯台がいた。
 白くてすらっとした、大きな灯台で、海のかなたまで照らせるきれいなレンズを持っていた。
 そして灯台は、とても、さびしがりやだった。
 灯台は海に面した山はだの崖に、たった一人で建っていた。街へ続く一本しかない道は、山を越えていく時間のかかる道なので、ひとが訪れることは滅多にない。
 近くにはむかし灯台守たちが住んでいたいくつかの家があって、みんな灯台とも仲が良かったのだけど、ずいぶん前に無人になってから、家達は言葉を無くした。その時からずっと灯台は一人だった。
 誰も来ない場所。聞こえるのは鳥の声と風の音。見えるのは山と空と海。そんなひとりきりの毎日が、灯台は心底つらくて、大きなレンズがくもってしまうほどだった。
 とても、さみしい。誰かと一緒にいたい。
 灯台は毎日光を送りながら話し相手を探した。周囲には野花がたくさん咲いているので、話しかけてみる事もあるけれど、花の声はあまりに小さくて聞き取れず、灯台の話し相手にはなれないのだった。


さびしがりの読者へ
辺境の地にぽつんとひとりで立っている、さびしがりな灯台の話。
灯台の擬人化とでもいうのか、
灯台がにんげんみたいに見たり話したり感じたりする様子を追うのはとても楽しい。
続きが気になって、どんどんページをめくってしまう。
灯台がひとりの男性に見つけられ、じぶんの「孤独」を埋められる最後まで、
一気に読み切ったあとふと気づく。
これはもしかして、すごくさびしい話なんじゃないか。
灯台の擬人化じゃない。その逆なんだ。
灯台の姿は、もしかしたら読者そのものなのかもしれない。

あなたは、さびしがりではないですか?
そんなことを尋ねてみたい。
あなたの孤独を埋めるための方法を知っていますか?
訊いてみたい気がする。
この物語を読み終えた、全てのひとに。
灯台にとっての男性のように、
あなたのいる辺境の地まで会いに来て、
「いつもお疲れさま」というあたたかい(!)言葉をかけてくれるひとは、
あなたにはいますか。
そんなことは訊けないけれど。
そもそも、そういう相手に会えることが幸せなのか、不幸なのか、分からない。
だって物語は、いつも寂しいものだと思うからだ。

ただ、もしもそういう人に会えることがあれば、
灯台がそうしたように、レンズの光をすこし強くしてみてほしい。
灯台にとっての光があなたにとって何なのか、
それは読み終えたあとに気づく筈だ。

さびしがりのひとに読んでほしい本。
さびしさを埋めるためではなく、もっとさびしくなるために、読んでほしい本。
推薦者あまぶん公式推薦文



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