出店者名 白昼社
タイトル すな子へ(無料試読版)
著者 泉由良
価格 無料
ジャンル 純文学
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紹介文
2000年初稿・2008年公開した『すな子へ』が売り切れたので、
2017年改訂版を作っています。
脱稿出来たら販売します。脱稿出来なかったら売れません。

本篇のイントロダクションとなる約80頁の無料配布冊子となります(表紙イメージ変わりました)
完成版はまたいつかお手に取りください。

   *

街にいつの間にか蔓延る珈琲人形を縦糸に、紅茶屋の女性すな子を横糸に描く、
大正ロマンに似た偽史の世界の作家の前半部の日記物語

古書店で働く「すな子」と彼女と出逢った偽春画師の同棲の顛末を描く後半部の小説「音夢-NeMu-」

すな子とはつまるところ、誰だったのか? すな子は誰を愛し、何を求めていたのか?
触ればするりと逃げてしまうような、「俺」と彼女だけの美の世界。

  某月某日

 街で初めて珈琲人形を見つけたのは、確かにこの日であったと記憶している。高層の夢を敷石にして出来ている駅のすじ向かいの両替屋はウィンドウに小洒落たものを飾るのが好みらしく、そのなかに顰めっ面をして飾られていた、それが確か、珈琲人形であった。珈琲人形はシルクであろうドレスを着て、細い白い腕でそのドレスの裾に触れながら、口許を結び目を伏せていた。小さく、然し精巧な人形だ。
 ──目を開けないだろうか?
 思っていたら声になって聞こえたが如くにぱっちりと目を開いた。それだけで辺りに花が咲いたような気になった。
 私は云った、夢中になって。
「うちにおいで。衣装を沢山作って、毎日珈琲も飲ませてあげる、だから、おいで。こんな所から連れ出してあげるよ」
 抗い難いほどに、彼女を、手許に置きたかった。彼女にはそれをして余りある魅力があった。
 珈琲人形は、無言で嘲笑うかのような笑みを浮かべ、また目を伏せた。
 あとは、幾ら眺め続けても微動だにしないので、私はその日は諦めた。

 *

  街

 街で偶然すな子に遇った。翠と白の縦縞の着物をきちんと着ていて、婦人会合へいってきたのだと云う。云いながら、深い呼吸をし、くたびれたわ、と付け加えた。
「いつものよりかおいろが悪いのではないか。休んだ方がいい」
「まあ、座ってもよろしいかしら?」
 煉瓦畳みの大階段の裾の方に、私たちは座った。すな子は日傘を傾け、ハンケチを出してこめかみにうっすらと浮いた汗を拭った。
「和装とは珍しいね」
「ときにはこちらの方が評判が良いのですわ」
 すな子の口調には皮肉が交じっていた。きっと婦人会など嫌いなのだろう。店ではいつも、すな子は黒い洋服と白い前掛けを着けている。衿に皺ひとつなくきっちり糊が利いていることを思い出した。
「貴女は洋装がお好きなのでしょう?」
「この国に西洋が差し込んできてから幾年が経つでしょうね」
 すな子ははっきり応えずにそんなことを云った。


   


完成版が待ち遠しいです!
夢と現実が混ざり合うような作家の男性。
古書店で働く女性・須那子。
ーーそれぞれの日々。

大正時代あたりをモチーフにした疑似世界が舞台の2つの物語が、それぞれ異なる雰囲気の文章で綴られています。
どちらもとても素敵で、その時代のロマンみたいなものを感じました。

お話は謎ばかりがひらひらと雪のように降り続いており
珈琲人形とはなんなのか(表紙の珈琲に納得しました)
男性が出逢ったすな子は誰なのか
古書店で働く須那子は偽春画師と出逢いどうなるのか
そして2つの物語はどう繋がってゆくのか。

早く完成版が読みたいです!
推薦者なな



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