出店者名 コハク燈
タイトル ぬくぬく仔猫
著者 コハク燈
価格 ¥700
ジャンル 大衆小説
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紹介文
目が覚めると、猫になっていた。ぷにぷにの肉球。ふわふわの毛。猫になった私を、あなたは愛してくれますか?__cat tale/瓜
「ココア、あったかいね」毎日二時間だけの逢瀬。お互いの孤独を暖めあう時間。__ホットココア/笹
君と居たから、楽しいことを数えるようになれたんだ。色々あったけど、今しか出来ないことをしよう。流星のような、きらめきを見つけて。__流星/瓜
強くなくたっていい。二人でいれば、大丈夫。これからもずっと、すずらんのような君がいい。__すずらん/笹
「俺が知らないものでもあると思っているのか?」彼は知らない。彼女の一番の笑顔が自分に向けられていることを。なんでもない休日の、仲良しカップル。__無意識の中の意識/瓜

日本画家Kazuhoによるフルカラー水彩イラスト3点収録。猫多め、ほっこりする一冊に仕上がっています。お手に取っていただけますと幸いです。

ゴールデンウィーク、お休み取れたから明日帰るね。
 美咲からそう連絡があったのは、昨晩の二十三時だった。

 「僕が今日仕事だったり用事でいなかったらどうする気だったの」
 お昼前、玄関に旅行鞄を放り投げて家に上がり込む美咲の後ろ姿に、遼は呆れた声を投げかけた。大手の商社に勤める美咲からの連絡は、いつも急だ。
 「えー?そしたらすずちゃんと遊んでるからいいでしょ」
遼の文句などどこ吹く風で、ねーすずちゃん、と美咲が同意を求めている相手。遼が先月から飼い始めた猫、すずらんだ。里親募集のチラシを見て引き取ってきた、生後四ヶ月の白猫。すずらんはふわふわの白い体を美咲にすり寄せ、転げまわってじゃれている。会うのはまだ二回目だというのに、すっかり懐いている。
 「僕の家なんだけど。すずじゃなくてすずらんだし」
 「やだ細かい。遼のけち」
 頬を膨らませて拗ねてみせる美咲を見ながら、随分晴れ晴れとした顔で笑うようになったな、と思う。昔の美咲は、笑っていてもどこか苦しそうだった。今は曇りのない顔で笑う。
 「大体遼のじゃなくて遼のお母さんの家でしょ。ゴールデンウィークで海外行っちゃっただけで」
 「僕のお給料で行ってるんだよ」
 「いいねー親孝行だねー」