出店者名 赤卒文庫
タイトル 虫めづる
著者 良崎歓
価格 400円
ジャンル 掌編
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紹介文
新書判/62ページ/左綴じ横書き/カラー頁あり(昆虫写真)

Twitterで呟いていた140字掌編のより抜きまとめ本、四季の虫蘊蓄と惚気の入り混じる学園恋愛もの。
三度の飯より虫と『彼女』が好きな『彼』。クラスメイトの『彼女』は、虫マニアの『彼』ならではの四季をともに過ごしていく。

某社の図鑑シリーズ風の体裁です。図鑑の棚に置いてくれるととても嬉しいです。

ナナホシテントウ  [コウチュウ目 テントウムシ科]

「君にとって俺ってどんな虫?」
 昆虫マニアの彼の質問は、私には少し難しい。私の知っている虫の種類なんて、ほんの僅かなものだから。
「可愛いイメージだから、テントウムシ。星が七つのやつ」
 私の答えに、彼はにやりと笑った。
「ナナホシテントウって肉食だって、知ってた?」

  *   *   *   *   *   *

ナミアゲハ  [チョウ目 アゲハチョウ科]
「あなたにとって私はどんな虫?」
 俺は即答する。
「ナミアゲハ」
「どうして?」
「俺が一番好きな虫だから」
「……照れるんですけど」と、彼女は頬を染めた。
 俺は思い出す。セーラー服とネクタイ――。白と黒だけの色彩にも関わらず、彼女は世界の何よりも輝いて見えたのだ。


純度100パーセントの好きが詰まった本
ツイノベ、Twitter小説をまとめた一冊です。
作者の良崎歓さんは自他ともに認める虫好きで、タイトル通り虫愛に溢れた一冊になっています。登場人物は虫が好きな彼と、数少ない彼の理解者であり恋人である彼女。描かれているのは基本的に3つ。虫が好き、彼女が好き、彼が好き。140字の制限では、他の要素を盛り込むのは難しいのでしょう。本当にこの3つの好きだけが書かれているのです。

140字だけだと物足りないのではないか、と思うひともきっといるでしょう。
しかし、物足りないなんてことはありません。純度100パーセントの好きがずっと続いているのです。好きだけが詰まった超短編が100以上あるのです。あまりに純度の高い好きがぎゅっと詰まっていたため、読み終えてからわたしは軽く酔ってしまいましたし、ここまで好きが詰まっている本は他に知りません。不純物のない好きだけの一冊です。
推薦者ひじりあや

こんなに可愛く、素敵なカップルっているんだな!
マニア系男子との恋愛を見るのが好きなのですが、この「虫マニア」の彼は、心から虫が好きで、そして彼女の事も好き。彼女の事を昆虫に例えては、もう読んでるこちらがこっぱずかしくなるくらい、素直に「好きだ」というのだからたまらない。
彼女も彼の趣味にありきたりな文句も言わないし、分かる範囲で(ここ重要なのです)付き合っている。その健気さや優しさもいとおしく感じます。
推薦者服部匠