出店者名 cieliste
タイトル 潮伽縮む里
著者 壬生キヨム
価格 500円
ジャンル 掌編
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紹介文
過去の「中之条ビエンナーレ」の展示作品を見て、
群馬の養蚕に興味を持ったことから着想を得て作った
幻想の言葉たちです。

言葉を遊ばせたSFのようなもの。

※虫が苦手なひとは注意です※
(本文に虫要素はあんまりありませんが)

〈章タイトル〉
巻頭ふろく

ペメロペイア

贋金

ガリレイ

博士を起こしてはいけないぼくはあそびにでかけるじゅん備をしているもうずっと前からこの世界がちいさくなっていることにはかせは気づかないふりをしていつも食べてはいけない粉とあそんでいるけれどぼくはまだ小さいのでそのことを許せずに出かける準備をする。博士はおとなのなかでは話がわかるほうでぼくはときどきひづみに飲まれたあとの世界のことを話してみるけれど博士は世界がちいさくなっていることに気づいていないということになっているのでひづみとは何だい、と聞いてぼくに話をさせるくせに結局わからないぼくはせつめいができずに博士が粉をおとすところをじっと見ている。博士の家を出ることにしたぼくがまずはじめにやらなくてはいけないのは世界のはじまりを決めることでそれには里のはしっこにあるたばこ屋が良いようにおもったそのたばこやはやさしいひとが経営していてけっしてさいごまでなくならないように思ったからたばこのにおいは世界のはじまりかおわりのどちらにもふさわしいぼくには血がかよっている。世界のはじまりを決めるとぼくはいろいろなどうぐを集めてはかせのリュックサックに入れる博士のリュックサックはせかいのうみをこうかいしたふねのほ(ほ?)を切り取ってつくったものだからとても丈夫だぼくはうみとは何かわからないけれど博士のことをなによりしんらいしているからこのリュッくサックに決めた。
博士が持っている粉はぼくをかゆくさせるさわってはいけない粉さわってもなめてはいけない粉さわってもなめてもいい粉ぼくは博士の家にくるたびにそれをすっかり覚えてさわってもなめてはいけない粉をすこしもらってうそをつくたび鼻がのびるおとこのこのものがたりを思い出すそれは木でできているからあるときにはとても便りだとおもってその物語をつくったひとをそんけいする。(すげえ。)博士はぼくといっしょのベッドで眠っていてお