十一月都々逸「葉」

四つ葉を探してふたり歩いた思い出みたいな冬の空

散ったところで何度ものびるクズの色した自己主張

とぎ澄まされたカヤの葉みたいに言葉で刺したい別れ際

大麻みたいに酔わせてみてよどうせこの世はわるいから

どうせ死ぬなら葉っぱになりたい誰も知らない道端の

       ■ にゃんしー

十月都々逸

「花葬」

葬式で知った花の名前に生きた理由を思い出す

「仮想」

忘れたままの思い出だけが今の僕には大切で

「火葬」

灰になるまで愛していたよたとえば空が青くても

「仮装」

恋人のふりを装っていたほんとは全然わるかった

「カソウ」

無色無臭を水に溶かしてあなたに飲ませる苛性ソーダ

       ■ にゃんしー

    

都々逸「砂」

海になろうか砂になろうか渚でまようひとり泣き

かわいそうねかわいそうねせっかく創った砂の城

ほんとうのことを砂地に書いて波にのませてさようなら

砂だけは夏水は冷たく季節をしらないわからずや

サンドストーム青い世界の王様は言う「死ねばいい」

 

        ■ にゃんしー