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二〇一七年八月題詠「砂」

朝凪空也

この岩が砂になるまでわたくしはきっとあなたを待っていましょう

星砂はいのちの残滓こんなにもたくさんみんなどこへ行ったの

砂嵐眺めるヒトデ、海綿はワーカホリック。アニメの話。

砂を噛むようなと例えた人はさて砂を噛んだりしたのかどうか

何処からか入り込んでた砂つぶがザリリと廊下で鳴ったため息

 

偲川遥

風緩む館山の春の砂浜で 友とふたりただ波を聴く

思い立ち砂を握りて手を開く 落つる砂の音は波に消されて

手の砂を払いしあとに振り向けば ただ名も知らぬ海草のみある

ふと見れば砂中に半ば埋もれたる 巻き貝の殻そっと手に取る

引き潮に取り残されたる貝の殻 滴る砂の虚しきことかな

壬生キヨム「足で立つこと」

村長の家を訪ねる海賊に名を奪われた星をたよりに

想像と違った味だ失ったものを探せぬひとのスープは

ぼくはぼくだ初歩的な考え方だ孤独のために砂漠を歩く

何も無いところでみつけるいちめんの砂つぶ・孤独・美しい井戸

いつまでも憎まれたまま黙ってるかつては空をたがやしたひと

砂を掘る みつけることは選ぶこと そのさみしさが今ならわかるよ

ル・プチ・プランス最後のページにそっくりな景色の中で眠り心地だ

あこがれを詰め込み砂漠の図書館で見たことのないあおをみつける

どの子どもも寝る必要がある食べる必要がある足で立つこと

光は敵 孤独をうつす目を持ったフェネックきみを飼いならしたい

 

泉由良「旅と砂と日々」

育ちゆえ海に慣れないままだから砂から硝石ばかりを拾ふ

砂浜でサンダルに付いた微粒子を何処まで持ち帰れば旅だつた

光から家に帰れば平日の埃か砂か倦怠なのか

はてしないいつかの物語のなかの仄かの色づく砂丘の群れよ

大切な海の硝石をテーブルの隅に溜めれば砂粒残る

日常は箒を持たない人間が砂を掃きたい綺麗にしたい

それは夢それは現実だつたから口から砂を噎せながら吐く

家のなか視えない砂が掃き溜まり這ひ蹲る這ひ蹲つてゐる

砂に生まれ露に暮らした人生の終焉がまだ地平に見えず

水の音が遠く遠くにささやけく砂を捨てずに季節を過ごす