十二月都々逸「灯」

 You are a girl, I am a boy, Let us fire, 息絶える

 灯台に住むきれいな男の裸を見れば海を知る

 灯りをつけてよ恥ずかしいからどうせこの世は終わってる

 灯という字を2つに分けてあなたとわたし抱き合った

 神様なんていないのだから心臓の灯が燃えている

       ■ にゃんしー

十一月都々逸「葉」

四つ葉を探してふたり歩いた思い出みたいな冬の空

散ったところで何度ものびるクズの色した自己主張

とぎ澄まされたカヤの葉みたいに言葉で刺したい別れ際

大麻みたいに酔わせてみてよどうせこの世はわるいから

どうせ死ぬなら葉っぱになりたい誰も知らない道端の

       ■ にゃんしー

十月都々逸

「花葬」

葬式で知った花の名前に生きた理由を思い出す

「仮想」

忘れたままの思い出だけが今の僕には大切で

「火葬」

灰になるまで愛していたよたとえば空が青くても

「仮装」

恋人のふりを装っていたほんとは全然わるかった

「カソウ」

無色無臭を水に溶かしてあなたに飲ませる苛性ソーダ

       ■ にゃんしー

    

九月都々逸「月」

四角い月に魅せられていたおかしい世界の真ん中で

ぼくのいない国に暮らしてみたいな月が3つあるあの星の

引力重力どうでもいいけど引き合う力を愛と呼ぶ

空に浮かぶもの愛を統べるものきみがわたしにくれたもの

月のなかにあるわずかな水は塩辛いのか涙のように

きみの命はあの月みたいだ無くてもいいけど美しい

 

        ■ にゃんしー

都々逸「砂」

海になろうか砂になろうか渚でまようひとり泣き

かわいそうねかわいそうねせっかく創った砂の城

ほんとうのことを砂地に書いて波にのませてさようなら

砂だけは夏水は冷たく季節をしらないわからずや

サンドストーム青い世界の王様は言う「死ねばいい」

 

        ■ にゃんしー